物流改善の主な方法や進める手順、改善を成功させる3つのポイントを解説

商品を顧客に届ける物流業務においては、現場となる倉庫での作業効率化や適切な人員配置などが求められます。

この記事では、

  • 物流現場で起こりやすい主な課題
  • 物流改善を進めるための基本的な取り組みや手順
  • 改善を成功させるための重要なポイント

について、物流現場の担当者の方に向けてわかりやすく解説します。

物流現場でよくある課題

取り扱う商品に関係なく、物流現場では以下のような課題を抱えやすい傾向にあります。

作業の属人化・マニュアル未整備

マニュアルが未整備のため、特定の作業者しか商品の場所やピッキング・梱包の方法が分からない、ツールやシステムの使い方が分からない、などの状況は決して珍しくありません。

出荷ミス・誤出荷の多発

商品を間違った場所に届けたり過不足のある状態で届けたりしてしまうミスは、システムの導入などデジタル化の遅れと関連して起こりがちです。しかし、デジタル化には費用や人材確保の課題もあります。

在庫管理の不正確さ

倉庫にいくつ在庫があるのかが正確に把握できていないと、発送しようとしたのに商品が足りないなどのトラブルにつながります。

繁忙期の人員確保・波動対応の難しさ

物流は10月~12月末にかけてが繁忙期です。繁忙期には他の時期以上に人員が必要になるものの、短期間だけスタッフを確保することは容易ではなく、多くの企業にとって課題となっています。

人件費・配送費の増加

最低賃金の上昇や物価高騰などを受け、人件費や配送費も増加傾向にあります。それらの増加を直接的に商品代に反映することは難しく、物流業務の改善によって費用増加を抑える工夫が必要となります。

物流改善の主な取り組み・手法

物流改善の主な取り組み・手法

続いて、物流業務を改善するためにできる具体的な方法をご紹介します。

作業の標準化とマニュアル整備

まずは、作業の属人化を防ぎ、経験を問わず誰でも一定の作業ができるよう、マニュアルを整備しましょう。

マニュアルを整備するためには、作業の標準化が必要となります。その作業によって自社の物流業務の問題点も明確にできます。また、作業の標準化とマニュアル整備は倉庫作業を効率的にミスなく行うためのものです。現場の声を聞きながら行うようにしましょう。

在庫・出荷管理のデジタル化

在庫を正しく把握するためには、出荷する商品をバーコードで管理する、WMS(倉庫管理システム)を導入するなどの対策が有効です。発注データとWMSを連携させれば、出荷のミスが予防でき、検品ミスの抑制にもつながります。ハンディターミナルと呼ばれるバーコード読み取り機を活用してバーコード検品を行えば、商品、日付、ロットの転記間違いを防止できます。

商品の種類や個数など、事業規模に応じて適したシステムやツールを選択し、不必要に費用が発生しないように注意しましょう。

倉庫レイアウトの最適化

倉庫内では、ピッキングや検品、梱包などの作業が行われます。ピッキングは、倉庫内での移動の無駄がミスの発生と効率の悪化につながります。注文が多いもの、同カテゴリーのものを近い箇所にまとめるなどして、作業者の導線が乱れないような工夫すれば、作業効率が向上します。

人員配置・教育の見直し

作業者によって効率や品質にばらつきがあっては、物流品質は高められません。すべての作業者が滞りなく作業できるようになるためには、ある程度の経験が必要です。マニュアルだけに頼るのではなく、新人に対してはベテラン社員がOJTを実施するなど、人材教育を並行して行い、適材適所で人員を配置することが重要です。

アウトソーシングによる効率化

物流業務には、入庫、検品、保管、流通加工、梱包、出荷などのさまざまな業務に加え、決済処理やカスタマーサポートも含まれます。それらの業務を物流が専門ではない自社ですべて担うことは、コスト面だけでなく、物流品質を保つうえでも大きな負担となります。

物流業務にかかわる一連のプロセスや、自社のリソースやノウハウが不足している部分については、専門業者へのアウトソーシングにより効率化を図ることも検討してみてください。アウトソーシングを行う際は、費用だけでなく、商品の保管方法や配送などの品質、自社商品のカテゴリーと同じものの取り扱い実績があるかなども確認するようにしましょう。

物流改善を進めるステップ

物流改善を進めるステップ

物流改善は以下の4段階で進めていきます。仮にアウトソーシングするにしても、すぐに全面的に委託できるわけではありません。業者とともに以下の手順で準備を進めることになります。

現状把握

まずは、入出荷、保管、作業動線などを数値やデータで見える化しましょう。これは、いわゆるムリ・ムダ・ムラを把握する作業です。

課題抽出と優先順位付け

現状の物流作業を詳細に把握すると、課題が見えてきます。複数の課題が同時に浮き彫りになることもあるでしょう。そのなかから、解決するためにかかる費用や作業量などを考慮し、優先順位をつけていきます。ピッキング、検品、配送など、工程ごとに課題を洗い出すと、取るべきアクションが分かりやすくなります。

改善計画の立案

課題を解決するためにどのようなアクションを起こすかを立案します。倉庫のレイアウトの見直しや人員配置の最適化、システムやツールの導入など、なるべく具体的な行動を策定するのがポイントです。

改善施策の実行と効果検証

改善計画が出来上がったら、その計画を実行し、効果検証を行います。検証のために、作業時間や誤出荷率などをデータ化し、成果を可視化できるようしておきましょう。

物流改善を成功させる3つのポイント

物流改善を成功させる3つのポイント

改善策を実行し、それを成功につなげるためには、以下の3点を意識しておくことが重要です。

全体最適で考える

物流は、在庫管理・ピッキング・検品・梱包・配送手段・輸送ルートなど、さまざまな要素で構成されます。その改善のためには、部分的ではなく物流業務全体を最適化することを目指し、総合的に優れた状態を保つことを意識する必要があります。

データと現場感覚の両立

いくら効率化が進んでも、人が担える業務量には限界があります。理想ではなく、現場からの意見やデータに基づいた現実的な達成可能目標を設定し、そのために改善を図っていくことが重要です。

第三者の視点を取り入れる

改善策は、特定の部署や人員の意見に偏ったものではいけません。顧客のためになっているか、社員の満足度は高くなるかといった広い視野で考える必要があります。ときには物流の専門業者に意見を聞くなど、第三者の視点を取り入れることも検討してみてください。

まとめ

まとめ

物流改善には、現状の把握、改善計画の実施、効果測定などが必要であり、状況に応じて物流の専門業者への部分的ないし包括的な委託も検討することが重要です。

現場でのミスや非効率な業務環境によって遅配や配送ミスなどが起これば、顧客との信頼関係の崩壊にもつながります。今回ご紹介した手順や手法を参考に、ぜひ手近なところから改善を進めてみてください。

このコンテンツの記者プロフィール

コンテンツ担当者イメージ画像

エスプールロジスティクス
コンテンツ担当者

フルフィルメントや3PL、越境ECに関する記事を多数執筆。豊富な実績やノウハウを持ったエスプールロジスティクスならではの情報を発信しています。

関連するコンテンツ