在庫管理について

在庫管理について

在庫管理とはどのような業務なのでしょうか。
在庫管理の方法や目的、倉庫管理との違いについて解説していきます。

在庫管理とは

在庫とは、小売業の商品や製造業の部品・原材料・完成品などを指します。在庫の段階では単なる物に過ぎなくても、顧客の注文を受けて取引されることで、在庫は現金に変わります。
つまり、在庫管理とはこれから現金に変わるものを管理するという大切な業務なのです。

在庫管理の役目は、企業が求める水準に合わせて、在庫を必要なタイミングで求められる場所に
供給することです。
その役目を果たすために、計画を立てて実行し、結果を基に改善を図るといった、PDCAも求められます。

在庫管理の方法

在庫管理の多くは、ロケーション管理という方法で管理しています。
ロケーション管理とは、仕入れた商品や部品を保管する場所を決め、ルールに従って管理する方法です。
商品の保管場所を決めておけば、受注に対しても迅速に出荷対応できますし、データ上の在庫と現物が合わなくなることもありません。
また、在庫管理にはデータ管理や出荷以外にも以下のような業務があります。

  • 受入・検査・検収
  • 返品処理
  • 棚上げ
  • 期限切れ在庫の処理
  • 棚卸(実在庫数の確認)
  • 製品入庫・保管
  • 発送

在庫管理の方式

定量発注方式

「定量発注方式」とは、商品や材料の数をもとに発注を行う方式です。一週間、一ヵ月といった時間的要因は考えず、「商品在庫が○○個まで減ったから発注する」といった具合に行います。在庫が一定数以下になると自動的に同じ数量を発注するので、一度設定を決めてしまえば在庫計算の必要がなくなるといったメリットがあります。一方、発注数が決まっているため急激な需要の増減に対応することができません。

定期発注方式

「定期発注方式」とは、一週間や一ヵ月などの時間周期をもとに発注を行う方式です。この場合、商品や材料の残数は関係なく、周期が来れば発注が行われます。発注タイミングがあらかじめ決定しているため発注忘れが起こりにくいのがメリットです。その代わり、発注ごとにどれだけ仕入れるか数量を考える必要が生じるため、手間がかかります。

在庫管理の目的・必要性

在庫管理の目的は、資金の流れを改善することです。
具体的には、売上を上げることと、物流コストを削減することに分かれます。
まず、売上を上げるためには、顧客の要求に応じて出荷できるよう、欠品のない在庫管理を行い、顧客に素早く提供できる体制を整えます。
一方、物流コストの削減では、工場から倉庫までの輸送コストを削減し、倉庫の設備や作業費用、倉庫から顧客までの配送費用を抑えます。

倉庫管理と在庫管理の違いとは

倉庫管理と在庫管理では、管理対象と目的が異なります。
倉庫管理は、倉庫に特化した管理方法で、倉庫内の商品や部品の在庫管理を行います。
また、倉庫内の人員の配分を考えて、入出庫管理やピッキング作業を行いながら、倉庫の効率化を
図っていきます。
一方、在庫管理では、倉庫内の在庫だけでなく倉庫外の入・出荷量の管理も行います。
適切な在庫量を維持させることで余剰在庫や機会損失をなくし、利益を最大化させます。

在庫管理の重要性とは

在庫管理の重要性とは

在庫管理は、企業内外両方の視点から見て重要となります。
まず、企業内からの視点では、在庫の保管料が高額だったり、倉庫内のスペースを過剰にとってしまうと経営上芳しくありません。
また、企業外からしても注文が入ったときに在庫がなければ機会損失となり、売上が減少してしまいます。
反対に、在庫過多による売れ残りを防ぐために値下げして販売すると、利益が減ってしまいます。
在庫管理を計画的に行うことは、企業内外どちらにとっても重要なことなのです。

在庫管理が難しい理由

在庫管理が難しいのには、どのような理由があるのでしょうか。
情報収集や実践で難しいところについて紹介します。

在庫管理に関しての情報が少ない

企業が発展を遂げるためにはさまざまな活動が必要です。
売上アップのための販促やマーケティング、営業などについては書店に書籍がたくさん並んでいますし、インターネット上にも豊富な情報があります。

それに比べ、在庫管理に関する情報は少ないのが現状です。
一部の銀行出身者や会計士、税理士などが在庫論について語っていることがあります。
しかし、それらは数字と書類を見て話しているだけで実際の在庫には触れておらず、机上の空論に
過ぎないのです。

在庫管理の現場では、予想もつかないことが起こります。
それらを一つひとつ解決していってこそ、本当の在庫管理のスキルが身につくのです。
情報が少なく、決まったルールもないままで作業をしなければならないところに在庫管理の難しさがあります。

二重入力によるデータと現物のズレが起こりやすい

在庫管理を行うにあたり、調達数と在庫数など重複しているデータを管理する際、データを二重に入力してしまうミスなどが発生します。
在庫管理のデータが誤っていることがあると社内からの信頼を失い、結果として営業担当が在庫数を自ら確認する形になります。
それによって在庫管理のルールは崩れ、データが機能しなくなるのです。
データ二重入力やズレが起こりやすいのも、在庫管理の難しさの一つです。

作業ミスが起こりやすい

倉庫内のピッキングや入出庫管理を人が手で行っているのですから、人為的なミスが起こることもあるでしょう。
しかし、小さなミスも数が増えれば大きな問題になってしまいます。
そのためミスを未然に防ぐための対策や環境づくりが重要になります。

Excelでの在庫管理について

在庫管理を行う方法の一つにExcelを使用する方法があります。
しかし、Excelでの管理には問題点も一部あるため、事前にその問題点や課題を押さえておくことが大切です。

Excelでの在庫管理の特徴

Excelは多くの事業者が日々の業務に使用しているため、新たにコストをかけずに在庫管理を始められる手軽さが特徴です。
準備に時間がかからないため、在庫管理を始めたいと思ったタイミングですぐに始められるのもメリットとなります。
また、紙で在庫管理を行うよりもデータを参照しやすく、紛失のリスクも抑えられます。

Excelでの在庫管理の問題点

Excelでの在庫管理は、少数アイテムの管理であればそれほど問題はありませんが、大量のアイテムの管理には向いていません。
シートの行数が長くなりすぎて管理が煩雑になったり、データが重くなって動作が不安定になったりするためです。
また、複数人で共同編集する際に、メンバーが誤ってデータを上書きしても気がつきにくいというデメリットもあります。

在庫管理を改善するためには

在庫管理の改善には、在庫管理のルール化や定期的な棚卸し、在庫管理システムの導入などが有効です。それぞれ説明していきます。

在庫管理環境の見直し

在庫管理を改善するための第一歩は、在庫管理環境を把握することです。自社の在庫管理環境を正しく理解できて初めて、在庫管理のルール化や棚卸し、管理システム導入などの施策が打てるようになります。

倉庫内にはどんな商品が保管されているのか。どれだけの数があるのか。倉庫の大きさや温度・湿度といった条件はどうか。在庫管理のために割かれている人的資源は何人か。現在採用されている管理施策にはどんなものがあるか。在庫管理環境について考えるべきことは多岐に渡ります。

在庫管理のルール化

在庫管理の際はルールを決めて管理することが大切です。
倉庫内の棚に住所を割り振り、どの棚に何の商品が保管されているか管理する方法を「ロケーション管理」といいます。
これによって保管場所がどこなのかが明確にわかるため、入出荷の生産性を格段にアップできます。
こうしたルールが明確化されていないと、ピッキングや棚卸しの効率が悪化して、倉庫業務全体の業務効率が低下するため注意が必要です。

リードタイムの把握

出荷や輸送など、物流の各工程においては「リードタイム」と呼ばれる所要時間が発生します。受注から倉庫へ出荷指示を出すまでの時間や、倉庫から商品を出荷するまでにかかる時間など、リードタイムをしっかりと把握し、できる限り時間短縮を図ることが重要です。リードタイムが短縮されると出荷がスムーズになり、在庫環境の効率化や顧客サービス向上が実現できます。

棚卸しの間隔の短縮

棚卸し業務を頻繁に行うことも、在庫管理の改善には有効な手段です。
棚卸しをすると、データと実在庫が合致しているかを確認することができ、在庫が合わなかったときには迅速に原因究明に移ることができます。
一般的には、棚卸しのサイクルを短くするほどデータと実在庫の数を正確に合わせることができ、結果として在庫管理の生産性が高まっていきます。
また、まだ在庫がある商品を誤って発注したり、欠品に気がつかないまま放置されたりするミスが少なくなり、過剰在庫や欠品を防ぐことにもつながるでしょう。

在庫管理システムの導入

在庫管理システムとは、生産時や入出庫時に在庫の状態を把握できるシステムです。
生産数やコストを管理し、余剰在庫や欠品による損失を防ぎます。
また、「作業員が多く情報共有ができていない」「扱う商品が多いために起こる人的ミスが減らせない」といった課題を解決することもできます。
実際、在庫管理システムを導入することで誤配達や機会損失がなくなり、作業スピードも1.5倍~2倍に上がったという事例もあります。
前述の棚卸し機能が備わった在庫管理システムもあり、ハンディターミナルなどと組み合わせるとさらに業務効率がアップします。

在庫管理の効率化メリット

在庫管理を行うことによるメリットはどのようなところでしょうか。
生産性の向上や品質の向上、在庫を過不足なく設定できる点などを解説します。

生産性の向上

同じ時間や場所、資金で運営されていた場合、在庫管理をきちんと行うことで生産性が向上します。
また、「製品の競争力は品質、コスト、納期で決まる」といわれています。
在庫管理を徹底することで、無駄な時間が減り、納期を短縮することができます。

余剰在庫の減少

在庫が足りなくなることを恐れて在庫を増やすと、余剰在庫ばかりが増えて手元に現金がなくなってしまいます。
適切な在庫数を理解して在庫管理をしっかり行うことで、余剰在庫は減り、資金繰りも安定していきます。

欠品の減少

一見矛盾しているように感じますが、在庫数が多いと欠品が増えます。
なぜならば、多過ぎる在庫に埋もれて必要な在庫を見つけられなかったり、長期保管によって劣化して出荷できない在庫が生まれるからです。
在庫管理がきちんとされていれば見失う在庫もなく、生産性の向上にもつながります。

倉庫のスペースの確保

倉庫の整理整頓し、スペースを有効活用することでデッドスペースをなくし、空いたスペースには別の在庫を保管することができます。
これにより生産性が高まるため、大きなメリットといえるでしょう。

品質の保持

在庫は保管期間が長くなると、湿気や紫外線などで品質が劣化していきます。
腐らなかったとしても、チリやホコリが混入する可能性もあるため、危険です。
在庫管理を行い、不必要に長期間保管することなく、古い順に出庫する仕組みづくりをすることで品質は向上していきます。

在庫管理をプロに任せることで効率化を図る

在庫管理は売上の機会損失や在庫の無駄を省くために必要な管理です。
在庫管理ができていないと企業の本来の力が発揮されず、業績が伸び悩んでしまう可能性も。

エスプールロジスティクスでは、在庫管理も含めた「物流アウトソーシング」をご提供しております。
例えば、「日々の入出荷作業」「在庫管理」「その他流通加工」などの業務内容を行います。
在庫管理は、経営に関わる重要な問題ですので、物流のプロに相談してみてはいかがでしょうか。