拡大を続けるEC市場と物流

拡大を続けるEC市場と物流

近年急成長を遂げ続けるEC業界

1990年初頭にECサービスが誕生し、Yahoo!ショッピング、Amazon.co.jp(アマゾン)、楽天市場のようなモールサービスが開始し、拡大しました。また、iPhone(スマートフォン)の販売開始とともに、SNS、フリマアプリの飛躍的な拡散により、今もなお拡大し続けています。ただ、日本のEC化率は未だ10%未満で、今後も拡大が見込まれます。

伸長続けるEC業界から必要とされる物流とは

センター出荷能力のキャパシティを確保することと、多様化する顧客ニーズに対応できる柔軟性が重要です。
商品の流通を伸ばすことができても、後方支援のロジスティクス部隊がそれについてられなければ、市場拡大のチャンスを逃すことになります。商流と物流は車で言う両輪ですから、同じスピードで回すことが重要です。
また、EC市場の伸長とともにEC事業者同士の競争は激化し、顧客ニーズ、ウォンツへの対応が、顧客(ファン)獲得のためのカギとなっています。それらを実現するために、物流現場でシステム、流通加工等の柔軟性が伸長し続けるための重要な要因となってきます。

EC物流の課題

EC物流の課題

EC物流を行う際の課題となってくるのは、大きく分けてマネジメント面とコスト面です。
どんな課題があるのか具体的にご紹介します。

マネジメントの課題

在庫管理の難しさ

様々な商品をECによって、消費者(エンドユーザー)に送るために、倉庫でも高度な在庫管理をすることが必要です。賞味期限管理やロット管理ができることは必須となり、リアルタイムに在庫数の把握ができる仕組みは必要不可欠です。
在庫数を把握してそれを管理することは、市場拡大のチャンスを掴むための重要成功要因です。

商品管理・受注管理の難しさ

せっかく注文を受けても、スピーディに商品を届けられないと、消費者の熱が冷め、キャンセルにつながりかねません。注文情報の確認や、消費者のニーズ、ウォンツを満たすための施策、サービスの確認は”スピード感”を持って対応することが重要となります。

人材確保の難しさ

市場拡大のチャンスは、広告施策やモールでのセールによって急に訪れることが予想されます。そんな時に、注文からお届けまでのリードタイムが長くなってしまうと、せっかくのチャンスを逃してしまうかもしれません。
センター出荷能力の一因を担う「人材の確保」は、物流事業者の必要な能力の一つとなっています。

コスト面の課題

運送コストの上昇

EC業界が伸長し続けていることと、宅配ドライバー不足により、私たちが望む宅配網を維持するのが困難な時代になってきました。宅配各社ともに、ドライバーの労働環境の改善に取り組んでいるものの、EC業界の伸長スピードには対応が追い付いていない状況です。しかし、バックヤードの状況とは裏腹に、BtoC、BtoB共にEC化の波は大きくなるばかりです。さらに、コストをかけてでも宅配網の維持をすることが、宅配各社の社会的責任となってきており、直接的に送料の値上げへとつながっています。

在庫管理のコスト

最低賃金は2015年から3年連続3%上昇し、これからもベースアップしていく見込みです。労働集約産業に位置づけられる物流業では、その上昇は大きなコストアップの要因であり、企業経営を圧迫しています。そこで重要な対策の一つとして、「自動化による省人化」が挙げられます。全自動にはまだ時間はかかる見込みですが、「人×機械×IT」の力で、工数を削減し、単価上昇に打ち勝っていくことが物流コスト削減のカギとなります。

EC物流の課題を解決する方法

先ほどご紹介したEC物流の課題に対する解決方法としては、アウトソーシングとシステム導入が挙げられます。
アウトソーシングとシステム導入について詳しくご紹介します。

物流のアウトソーシング

自社が展開する業界で存在感を示すためには、自社の強みを理解し、それを最大限に発揮する必要があります。
そのためには、「コア業務」「ノンコア業務」を仕分け、ノンコア業務に関してはアウトソーシングすることが、事業成功へのカギとなってきます。
EC事業者様のコア業務は、商品の企画開発と販売です。
バックヤードに関しては、その道のプロにアウトソーシングし、商流と物流の両者をスムーズにしていくことで、事業拡大のスピードを上げることができます。アウトソーシングの活用は、品質を担保した上で、企業成長スピードを上げるための一つの経営手法といえます。

物流全体を管理するシステムの導入

「在庫管理」「入荷」「出荷」「返品」等の通常物流業務の品質を担保し、よりスムーズな流れにするためにはIT支援は欠かせません。特にEC業界においては、消費者ニーズをくみ取り、TPOに合わせたサービス提供を倉庫で対応する必要もあります。こちらの対応も、手作業ではなく消費者購買データをもとに、IT支援を受けて行うことがベターで、今後高度化することが見込まれます。そういうニーズをくみ取ったシステム導入が、EC業界で勝っていくためのカギとなります。

物流代行とは?

在庫管理から出荷、消費者に荷物を届けるまでの業務を一括して代行してくれるサービスです。

物流代行で実際に代行してもらえる業務は?

業者によって対応しているサービスは異なりますが、商品の保管・管理や受注処理、発送準備から配送など、その業務は多岐にわたります。
各種サポート対応にも差があるので、「どこまでフォローしてくれるのか」について事前に確認しておくと良さそうです。

物流にかかるコスト

商品の管理やスタッフへの人件費、倉庫の管理費など、自社で物流をまかなうには多くのコストが発生します。
物流代行を利用することで、コスト削減が期待できます。

物流代行してもらうのにかかるコスト

WMS(倉庫管理システム)の使用料や商品を保管するためにかかった費用などは「固定費」として必ず発生します。
また、商品の検品や梱包のほか、入荷や配送があるたびに発生する「変動費」もあります。その名のとおり、量によって金額が変わっていくので、サービスを利用する前に必ず見積もりをとっておきましょう。

実際に物流代行を検討するなら

これまで物流に関することをご紹介してきました。ここからは実際にサービスを検討している方へ向けて、それぞれのメリット・デメリットについて触れていきます。

物流代行のメリット

サービスを依頼するにあたり、さまざまなメリットが期待できます。

  • 物流をプロに任せることで、販促などの作業に集中できる
  • 商品管理、発送にまつわるコストが削減できる
  • 配送品質が保たれる

専門の業者に任せることでヒューマンエラーの減少も期待でき、消費者の満足度もあげられると
考えられるでしょう。

物流代行のデメリット

物流を任せるということは、代行業者と顧客情報を共有することになります。情報漏洩する可能性も考えられるので、信頼できる業者を探すことが重要です。
また、自社で発送に関するノウハウが蓄積されないので、「自社物流に切り替える」となった際に、現場で混乱が生じトラブルに発展する可能性も。

物流代行サービスを選ぶときの注意点

EC事業者にとって、メリットの大きな物流代行サービスですが、事前にしっかりと検討しておかないと顧客情報の漏洩など、大きな事故に繋がることもあるので、信頼できる業者を探すことが重要です。
倉庫の様子を見学することもできるので、サービスを利用する前に自身の目で確認しましょう。

まとめ

進化し続けるロジスティクスは、専門性の高い領域で、その範囲は多岐に渡ります。
単に「物流」というA地点からB地点にモノを運ぶことのみではなく、製造→調達→在庫→販促販売→消費→回収再利用までの一連の流れを俯瞰し、時代や企業の成長段階に合わせて、全体最適を前提に、各部署に策を講じる必要があります。
自社でロジスティクスの専門知識を携えた人材の採用をするのは難しいので、専門家へ相談することが
おすすめです。
ロジスティクスコンサルティングを活用し、時代や企業の成長段階に合わせた手を講じていくことで、更なる飛躍を目指しましょう。

関連するコンテンツ