
EC市場の拡大に伴い、自社商品を直接消費者に届けるD2C(Direct to Consumer)ビジネスに取り組む企業が増えています。しかしD2Cでは、自社でECサイトを構築し、顧客管理や分析なども行える仕組みを構築することが求められます。そこでぜひ活用したいのがecforceです。
今回の記事では、自社でECサイトを構築する際の手法の1つとなるecforce(イーシーフォース)について、基本的な特徴や機能、さらにはecforceを活用する際の物流面の課題と解決策を解説します。
ecforceは、株式会社SUPER STUDIOが提供するクラウド型のECプラットフォームです。クラウド型のため自社サーバーは必要ありません。
ECプラットフォームにはさまざまなものがありますが、ecforceは日本発のプラットフォームです。D2Cブランドや定期通販ビジネスに特化したサービスで、ECサイトの構築から顧客管理、広告・CRM・分析までをワンストップで行えるのが特徴です。
続いて、ecforceの基本的な機能についてご紹介します。
ecfroceには、ECサイトを運営する上で必要となる機能が幅広く搭載されています。商品登録や受注管理、顧客管理といった基本機能はもちろん、決済方法も、クレジットカードや代金引換、銀行振込、コンビニなどでの後払い決済、PayPayなど電子マネー決済との連携など、豊富に設定できます。
さらに、クーポン発行機能もあります。クーポンは新規顧客の獲得やリピート購入、利用者の離脱防止など、さまざまな面で活躍する、自社でECサイトを運営するためには欠かせないものです。
月に一度、2ヶ月に一度などの定期的なペースで商品を届ける定期便やサブスクリプションに対応しています。顧客は、配送間隔や商品内容の変更、次回配送分だけスキップするなどの設定を任意かつ柔軟に行えるため、ライフスタイルに合わせて商品を提供でき、解約や離脱の防止に貢献します。
この仕組みは、継続率の分析や解約理由のデータを集めるといったことにもつながるため、企業側で改善の行動が取れる点にも特徴があります。
UX(User Experience)とは、顧客がサービスや製品の使用で得られる体験を示す言葉です。ECサイトにおいては、「サイトの使い勝手がよい」「欲しい商品を見つけやすい」といった機能的なところから、「サイトのデザインがオシャレ」「カスタマーサポートの対応が早くて親切」など、サービスにまつわる体験のすべてを含みます。
ECサイトでは、顧客が「買いたい」と思った気持ちを維持し、離脱なくスムーズに購入完了まで導くことが重要です。ecforceには、スマートフォンからの利用を意識したデザインの最適化、離脱を防いで成約率を高めるための購入手続きのステップの最短化が図られています。
また、いわゆる「カゴ落ち」と呼ばれる、商品をカートに入れたまま顧客が離脱してしまう状況についての対策も行えます。離脱した顧客に対してリマインドを行うなどの仕組みが該当します。
リピーターを増やすためには、すべての顧客に同じ提案をするのではなく、顧客ごとの購入履歴や行動データを基に提案することが重要です。
ecforceでは、顧客の属性や行動に応じたキャンペーンの表示が可能です。前回購入から一定期間が空いた顧客に対してだけ次回割引の案内をするといった設定もできます。
D2Cビジネスを成長させるためには、広告運用やデータの分析が必須です。しかし、分析のために複数のツールを使用すると、効果測定や改善施策の検討が難しくなる傾向にあります。
ecforceは、広告・分析・CRMが一体化されているため、広告の効果を一元的に可視化でき、その結果をもとに顧客管理やメール配信、顧客ごとの施策へとスムーズにつなげられます。広告経由で獲得した顧客のその後のリピートの有無やLTVなどの情報も、プラットフォーム内でまとめて把握できます。

ecforceの料金プランは公式サイトでは公開されておらず、企業ごとのニーズに合わせた個別見積もり形式となっています。一般的なASPカートに比べると初期費用・月額費用ともに高めに設定されていますが、その分、定期販売、LTV分析、広告・CRM連携といったリピーター獲得のための機能は標準で使用できます。
料金体系には「スタンダードプラン」「エキスパートプラン」「移行プラン」の3つがあります。スタンダードプランは月の受注件数が2,000件までとなっており、それ以上に達した場合はエキスパートプランに自動移行します。基本的には流通の規模でプランを選ぶとよいでしょう。移行プランは「Shopify」など他のECプラットフォームからの移行をする際のプランです。
ecforceの最大のメリットは、D2Cやリピート通販といったビジネスモデルに特化している点です。単発購入ではなくリピート購入を促し、LTVを高めることに貢献します。専門的な知識がなくてもノーコードで直感的にサイトを編集できるため、スピーディーにデザインや訴求内容を改善できるのも特徴です。
また、広告運用、CRM、データ分析といった機能が統合されているため、複数のツールを使用する必要がありません。他のアプリケーションやサービスと連携するAPI連携も可能なので、自社の使用目的に合わせた柔軟な活用が実現します。
一方、ecforceを使用する際にはいくつか注意点もあります。
まず、初期費用や月額費用は一般的なASPカートシステムに比べて高めに設定されているため、スモールスタートを考えている企業にとっては負担が大きく感じられるかもしれません。また、リピーター獲得のための機能は充実していますが、それを十分に活用するためには自社でのマーケティング運用経験も必要となるでしょう。
さらに、自社ブランドの商品を直接消費者に販売する事業スタイルに特化したサービスなので、Amazonや楽天市場のようなモール型ECサイトを活用する事業やBtoBビジネスにはマッチしない可能性があります。
自社ブランドでD2Cビジネスを展開している企業や、サプリメントや化粧品、食品などの定期購入が前提となる商材を扱う企業には、リピート率を高める仕組みが整っているためecforceが向いています。また、自社でデータ分析をしながらLTV改善や広告効率化を目指したい成長フェーズの企業にも適しています。
一方、単発購入が中心の企業やモール販売が主軸の企業には適合しづらい傾向にあるため、自社の戦略と照らし合わせて検討することが重要です。

活用することでさまざまなメリットが得られるecforceですが、優れた機能を持つからこそ、物流面では課題が発生することがあります。
ecforceでは顧客に合わせたさまざまな施策が実行できるため、セールや広告施策の成功確率は高くなります。しかし、受注量の急激な変動に対応できる体制がないと、出荷が遅れたり、対応に追われて通常業務が滞ったりするリスクがあります。
せっかく受注があっても、出荷の遅れにより悪い評価につながれば、リピーター獲得のチャンスを逃す恐れもあります。
商品の誤出荷や、システム上の在庫と実在庫が合わないことで発送が遅れたりキャンセルせざるを得なくなったりすることは、顧客の信頼を失う原因となります。特にD2Cは企業が直接商品を届ける形式のため、物流の品質がブランドの評価に大きく影響します。
EC事業が成長するほど物流の負担も比例して増えていきます。最初は自社のオフィスや倉庫で対応できていても、受注規模が拡大すると人手不足や保管スペースの問題が生じます。これに迅速に対応できない場合、企業の成長が妨げられてしまいます。
ecforceで自社ECサイトを運用し、顧客獲得が軌道に乗ったら、同時に商品を滞りなく確実に届けるための物流体制も整備する必要があります。自社で在庫や配送の管理まで担うのが難しい場合は、物流業務をアウトソーシングすることも検討してみましょう。物流のプロに委託することで、注文変動への対応や誤出荷の防止、在庫管理の効率化が可能になります。
エスプールロジスティクスでは、独自のノウハウを基に荷主様の配送状況を丁寧に分析し、荷主様と受取人のどちらにとってもメリットを最大化できるコンサルティングを提案しています。設計段階からの提案力や、課題改善・コンサルティング力、活力・コンプライアンスの3つのポイントを押さえたコンサルティングで、企業における最適なオリジナルロジスティクスをデザインし、最適な運営管理体制を構築します。ecforceはAPI連携に対応しているため、エスプールロジスティクスの倉庫管理システムや出荷代行サービスとつなぎ、システムと物流を一体的に運用することも可能です。
物流に関して課題をお持ちの際は、ぜひお気軽にご相談ください。
ecforceは、D2C、リピート通販に特化したECプラットフォームです。成長を支援する機能が豊富に揃っており、LTVを高めたい企業や広告効率を改善したい企業にとっては有力な選択肢となります。
EC運営においては、システムだけでなく物流の体制構築も重要です。キャンペーン時の出荷遅れ、誤出荷や在庫差異は、顧客満足度やブランド評価に直結します。これらの課題の解決には、ecforceの導入と同時に物流アウトソーシングも活用することが有効です。
効率的かつ顧客満足度の高いEC運営を実現するために、ぜひECと物流を両軸で充実させましょう。