倉庫移転する際に押さえておきたいポイントとは?

事業規模の拡大やエリアの変更などに伴って倉庫を移転することは珍しいことではありません。しかし、実際に移転をする際にどう移転先を選べばよいか、どのようなスケジュールで準備を進めるべきかについて知識をお持ちのケースは少ないのではないでしょうか。

そこで今回は、倉庫移転する際に押さえておきたいポイントについて詳しく解説します。

物流倉庫移転を考えるのはどういった時?

事業規模が拡大して在庫の保管スペースが不足したり、十分な作業スペースを確保できずに作業効率が低下したりした時には、物流倉庫の移転を考えるべきでしょう。
多くの物量を処理するためにはまとまったスペースが必要になりますし、在庫を維持しておくスペースを確保できなければ都度仕入れや製造をおこなう必要が生じます。そうなると結果的に配送リードタイムが長引いたり、販売機会の損失を招いたりする可能性があります。

お客様をお待たせすることなく商品を提供するためにも、事業拡大のスピードに見合った倉庫を確保することが必要です。

物流倉庫移転のスケジュール

物流倉庫の移転を決めてからの具体的なスケジュールは、次のような流れが一般的です。

基本的な計画の検討

まずは倉庫移転についての基本的な計画を検討します。
移転をスムーズに進めるための土台となる重要なフェーズなので、細かい部分も妥協せずにじっくりと時間をかけて進めることが大切です。倉庫の現状を分析して課題を把握するだけでなく、将来的な事業計画なども加味したうえで、どのように倉庫移転を進めていくかを決めましょう。
現状の荷量だけではなく将来的にどの程度まで売上規模を拡大していく見通しなのかも踏まえ、移転先の倉庫で取り扱う荷量を想定します。

また、物流倉庫の運営ではオペレーションがブラックボックスになっている部分が少なからずあるものです。その部分を明らかにし、移転を機に解消に努めましょう。
特に委託先を変更する場合は、移転後のオペレーションをスムーズに構築できるよう、荷主と物流業者がお互いに細かい業務内容をチェックしておくことが重要です。

さらに、移転時期の検討もこの段階でおこないます。倉庫移転の実施時期は一般的に繁忙期を避けたスケジュールに設定します。繁忙期に倉庫を移転すると立ち上げ時に混乱を招き、正常な業務運営ができなくなるリスクが高いためです。

運用計画の設計

基本的な計画が完成したら、新倉庫に移転するための運用計画の設計に移ります。
スムーズな在庫保管やピッキング、出荷作業などをおこなうための倉庫のレイアウト設計や、倉庫全体の入出荷能力の検討、作業員の人数の決定、トラブルが起きた際のバックアップ体制など、具体的な運用計画を決めていきます。

また、物流倉庫の保管設計が適切になされていないと必要な在庫を保管しきれない可能性がありますし、作業設計が曖昧だと一日に必要な作業を終えきれずに出荷残が発生するリスクもあります。
事前に十分にシミュレーションを実施し、オーバーフローや出荷残を防止するための対策を立てるようにしましょう。

さらに、物流業務の各フェーズの生産性を分析し、フェーズごとにかかる時間を検証したうえでタイムスケジュールを組むことも重要です。

システム設計・開発や設備の準備

続いて、システム設計や開発、設備の準備をおこないます。このフェーズでは、日常的なオペレーションを効率化するためのITシステムを構築するベンダーの選定、およびそのシステムの設計・開発・導入準備を進めていきます。

倉庫移転の失敗はその多くがシステムに関連するものであるともいわれています。
いざ新倉庫の稼働を始めてみたものの「伝票が発行できない」などのトラブルが起きれば物流業務全体のスケジュールが乱れ、発送遅延などの混乱を招きます。
スムーズかつ安定的に業務が始められるよう、移転先の倉庫でシステムをテストする期間も設けておくことも大切です。

作業員採用・トレーニング

システムの導入準備が完了したら、新倉庫での稼働準備のために作業員の採用やトレーニングをおこないます。
物流業界では人材不足が続いており、採用活動が繁忙期に重なれば十分な人材をすぐに確保できないこともあるため、余裕をもって採用やトレーニングの期間を設けることをおすすめします。作業員の質が低いと物流業務全体の品質が低下し、企業としての信頼低下を招く原因になるため、しっかりと教育期間を設けて品質を高めることが大切です。

また、物流ロボットやマテハン機器の導入がある場合はテスト期間も含めて3ヵ月以上の期間を設定しておくべきでしょう。

さらに、このフェーズでは旧倉庫からの在庫移管もおこないます。新倉庫でどこにどの商品が配置されているのかを作業員にわかりやすく共有し、スムーズに業務を開始できる体制を整えましょう。

並行稼働

移転先倉庫の準備が完了しても、すぐに完全移行するのは避けましょう。
一般的には、旧倉庫と新倉庫を一定の期間だけ並行稼働し、新倉庫での運用に問題がないかどうかを検証してから完全に新倉庫へ移行します。並行稼働するためのコストはかかりますが、万が一新倉庫での運用に問題があっても旧倉庫でバックアップできるため、移転リスクを最小限に抑えることができます。

物流倉庫移転時に起こりやすい問題

物流倉庫移転時に起こりやすい問題

物流倉庫移転時に特に起こりやすい問題として挙げられるのは、以下の3点です。

  • 確認不足で予定していた在庫が保管しきれない
    現在の在庫だけでなく新倉庫移転後に保管する予定の在庫の総量を把握しておかなければ、いざ在庫を増やそうという時に保管しようとしていた数量を収めきれない可能性があります。
  • オペレーションが非効率で時間内に出荷が終わらない
    作業手順の設計が甘く無駄な導線や段取りが増えてしまい、出荷作業を時間内に終えられない場合があります。
  • 実在庫が帳簿在庫と異なっていて在庫が合わない
    倉庫移転前に数えた在庫数と移転先で数えた在庫数が合わず誤出荷を招いてしまうことも少なくありません。

物流倉庫移転時に確認すべきポイント

物流倉庫を移転する際は現在稼働中の倉庫における現状把握を十分におこないつつ、移転先の倉庫についても敷地面積や階層などをしっかりと把握しましょう。前に入居していた事業者の業種なども把握しておくと、活用方法をより設計しやすくなります。

さらに、現在の倉庫においてオペレーション上どのような点が課題となっているのかを洗い出したうえで、新倉庫における業務フローや在庫保管体制を検討することが大切です。

物流倉庫移転をお考えならエスプールロジスティクスにご相談を

ここまで、倉庫移転の際に押さえておきたいポイントについてお伝えしてきました。

物流倉庫の移転は、業務の拡大などの影響でどのような事業者にも発生しうるものです。もし具体的にどのような移転計画を立てればよいのかお悩みの際は、ぜひエスプールロジスティクスまでご相談ください。各事業者様にとって最適な倉庫移転の計画をご提案し、安定稼働へスムーズに導きます。

長期的な視野に立った安心の倉庫移転を、エスプールロジスティクスでぜひ実現してください。