
顧客満足度の向上やコスト削減などのために物流品質は重要な指標となります。
この記事では、
について解説します。
まず、物流における品質とは何かについて解説します。
一般的に品質というと、商品やサービスなど質の良し悪しを指すことが多い言葉です。一方、物流品質という言葉は、有名無形を問わず、物流に含まれる複数の要素を総じて指しています。
物流品質は主に、個数や届け先を間違うことなく商品を届ける正確性、期日までに商品を届ける納期の遵守、商品を汚れや破損なく届ける荷扱い品質、ドライバーやカスタマーセンターの顧客対応品質で構成されています。これらの品質が一つでも損なわれれば、顧客満足度やブランドイメージが低下するだけでなく、余計なコストが発生する原因にもなります。

物流品質が重視される背景には、以下のような理由が挙げられます。
経済産業省が発表した「令和6年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)」によると、2024年の日本国内のBtoC-EC(消費者向け電子商取引)の市場規模は26.1兆円でした。2022年は22.7兆円、2023年は24.8兆円となっており、年々拡大傾向にあります。
出典:経済産業省「令和6年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)」
EC市場の拡大は物流需要の増加につながりますが、物流業界はドライバーを中心に慢性的な人手不足の状況です。一方、主に個人向けに商品を配送するECは、配送先の数が非常に多い反面、1回ごとの物量は少ない特徴があります。そのような状況でも正しく商品を届けるために、結果としてこれまで以上の物流品質が求められています。
すぐに届くことや指定の時間帯に届くことは、消費者が求めるニーズの代表例として挙げられます。こうした消費者のニーズを満たすことは顧客満足度向上やリピート発注につながりますが、一方でニーズは時代とともに高度化しています。正確性や荷扱い品質などを保ちつつ消費者ニーズを満たすためにも、物流品質の向上が求められています。
BtoB(企業間取引)による物流の多くは、大口の長期契約となります。そのぶん、より正確な対応が求められますし、書面での契約を結ぶケースが多いため、より高い信頼性が求められます。そうした信頼を得るためにも、高い物流品質を維持することが重要となります。
SNSの発達により、良くも悪くも個人の発信が大きな影響力を持つ時代となりました。良い噂や体験談が広まりやすくなった一方、窓口対応やドライバーのマナーなどへの批判も拡散されやすいのが現状です。荷物の箱がへこんでいた、予定した時刻を遅れそうなときに連絡がないなど、低い物流品質がSNSに書き込まれ、それが拡散されてしまえば、ブランドイメージの低下につながります。そうした事態が起きないよう、日頃から物流品質を向上・維持させることが重要です。

人的ミスやシステムの不備などにより物流品質が低下してしまうと、以下のような問題が発生するリスクが高まります。
商品が注文していない場所に届く、個数や配達日が指定したものと異なる、納期に遅れるなどの問題が起こると、顧客満足度が低下し、クレームや取引の中止などにつながる恐れがあります。
配送の不備によって返品や再配送が発生すると、そのぶん余計にコストがかかってしまいます。
たった一度の不備でも、信頼関係が損なわれれば、契約は継続されなくなります。特にBtoBの物流では、契約を一つ失うだけでも事業に深刻な損失をもたらす恐れがあるため、物流品質を下げない取り組みが重要となります。
物流上のミスが多いことは、顧客満足度を下げるだけでなく、ブランドイメージの低下にもつながります。悪い評価は広まりやすく、ひとつの取引先に対するミスから連鎖的に損失が広がる恐れもあります。

物流品質の向上によって顧客満足度や企業ブランドを高めるためには、以下に挙げる項目を徹底することが重要です。
作業者によって効率や品質にばらつきがあると、物流品質は高められません。誰でも同じように作業ができるよう、作業手順をマニュアル化し、その手順を徹底して守らせることが必要です。
ただし、いくら詳しいマニュアルを作成しても、滞りなく作業できるようになるためには、ある程度の経験が必要です。マニュアルだけに頼るのではなく、新人に対してはベテラン社員がOJTを実施するなど、人材教育を並行して行うようにしましょう。
倉庫内ではピッキングや検品などの作業が行われます。それらの品質を向上させるためには、業務プロセスの見直しが有効な手段となります。
ピッキングでは、倉庫内での移動の無駄がミスの発生や効率の悪化につながります。注文の多いもの、同カテゴリーのものを近い箇所にまとめるなどして、作業者の導線が乱れないような工夫をしましょう。検品については、手順の標準化を行ったり、ハンディターミナルを使用したりすることで、見落としなく効率的に作業を進められるようになります。
システムを活用し人的ミスを減らすことでも物流品質の向上が見込めます。
物流における代表的なシステムのひとつに、倉庫管理システム(WMS)があります。倉庫管理システムは、倉庫への資材や商品の入出荷管理、在庫管理ができるシステムです。また、バーコードやRFIDの導入も効果的です。
これらを活用すると、倉庫のどこに・何が・いくつあるのかの把握や、入荷予定、入荷検品、ロケーション、返品による入荷、出荷予定や仕分けの管理などが簡単にでき、出荷予定がある商品の在庫の有無も瞬時に確認できるようになります。荷物の動きをリアルタイムで把握できるようになるので、ピッキングや検品作業の効率化やミスの予防が期待できます。
物流品質を客観的に判断するためには、物流業務に指標を設けることが重要です。誤出荷率や納期遵守率などの計測による物流品質の可視化をおすすめします。
物流業務には、入庫・検品、保管、流通加工、梱包、出荷など、さまざまな要素に加え、決済処理やカスタマーサポートも含まれます。これらの業務を物流の専門業者でない自社ですべて担うことは、コスト面はもちろん、物流品質を保つうえでも大きな負担となります。
そうした負担を軽減するためにも、物流業務のプロセスにおいて自社のリソースやノウハウが不足している業務については、専門業者へのアウトソーシングを検討しましょう。
エスプールロジスティクスでは、独自のノウハウを基に荷主様の配送状況を丁寧に分析し、荷主様と受取人様のどちらのメリットも最大化できるコンサルティングを提案しています。荷主様の物流の最適化のために、拠点の選定、倉庫内レイアウト、導入機器の選定、オペレーション設計などに至るまで、すべて当社が一貫して代行いたします。
物流品質の向上はもちろん、物流のコストダウンや労務の手間の軽減など、物流に関するさまざまな課題に網羅的に対応しますので、ぜひお気軽にご相談ください。

正確性、納期の遵守、荷扱い、ドライバーやカスタマーセンターの顧客対応などで構成される物流品質は、基準として求められるレベルが高いため、ほんの小さな不備でも顧客満足度の低下や余分なコストの発生につながってしまいます。コストやリソースと照らし合わせながら、状況によっては物流業務をアウトソーシングすることも視野に、物流品質の向上に取り組んでみましょう。
「物流品質を高めたいけれど何から始めたらいいのかわからない」とお悩みの際は、ぜひエスプールロジスティクスにご相談ください。
フルフィルメントや3PL、越境ECに関する記事を多数執筆。豊富な実績やノウハウを持ったエスプールロジスティクスならではの情報を発信しています。