フルフィルメントby Amazon(FBA)とは?メリット・デメリットについて

Amazonを利用した商品販売のメリットは、統一化されたプラットフォームによる出品の手軽さや巨大市場を利用できることによる訴求力の他、フルフィルメント業務を代行してもらえるフルフィルメントby Amazon(FBA)を利用できる点も挙げられます。

そこで今回は、Amazonのフルフィルメント業務代行サービスである「フルフィルメントby Amazon(FBA)についてわかりやすく解説します。

フルフィルメントby Amazon(FBA)とは

フルフィルメントby Amazon(FBA)とは、Amazonが商品の出品者に代わってフルフィルメント業務を行うサービスです。

フルフィルメントサービスとは、商品の入出庫や保管、ピッキング、注文処理、配送、梱包、各種カスタマーサービスなど、商品を顧客に販売する過程で生じるさまざまな物流業務を指しています。

フルフィルメントby Amazon(FBA)を利用すると、販売する商品をAmazonの指定された倉庫に納品するだけで、Amazonが一連のフルフィルメント業務をまとめて代行してくれます。24時間365日出荷可能で、代金回収やクレーム対応などの手間がかかる業務も引き受けてもらえるなど、利用者にメリットの大きいサービスです。

フルフィルメントby Amazon(FBA)で委託できる業務範囲

フルフィルメントby Amazon(FBA)で委託できる業務範囲は主に下記の通りです。

  • 商品の保管サービス
  • 入出庫と注文に基づくピッキング
  • 梱包・配送処理
  • 返品対応に関わるカスタマーサービス

フルフィルメントby Amazon(FBA)活用の
メリット

フルフィルメントby Amazon(FBA)を利用すると、業務負担の軽減や人件費の軽減をはじめとしたさまざまなメリットがあります。ここでは代表的な5つのメリットをご紹介します。

業務負担の削減・人件費の削減

フルフィルメントby Amazon(FBA)を導入すると、これまで自社で行っていたフルフィルメント業務をまとめて委託できるため、業務負担を大幅に削減できます。注文処理やピッキング、梱包、配送などの処理が負担になっていた事業者では、他の業務に割り当てるためのリソースを確保しやすくなるでしょう。

また、フルフィルメント業務を専門としたプロの事業者に任せられるため、注文を効率的に処理できるようになり、人件費の削減にもつながります。

Amazonブランドによる集客・信頼性

Amazonの発送方法には、「Amazonからの発送」と「マーケットプレイスからの発送」の2つがあります。このうち、フルフィルメントby Amazon(FBA)を利用した販売は「Amazonからの発送」として扱われるため、
Amazonブランドによる高い信頼性を確保でき、集客力アップが期待できます。

今までに見たことのないブランド名の企業から商品を購入することは、消費者にとっては購入のハードルが高いものです。しかし、Amazonが発送している商品なら安心・安全と感じてもらいやすく、購入の心理的なハードルを下げることができます。

決済方法が豊富

フルフィルメントby Amazon(FBA)を経由した販売では、クレジットカードの支払いだけでなく「代金引換」も利用できます。クレジットカードを持たない・作れない消費者であっても、フルフィルメントby Amazon(FBA)を利用している事業者の商品であれば、代金引換を利用して購入してもらえる可能性が高まります。

転換率の向上

転換率とは、商品をチェックされた回数のうち、購入につながった割合のことです。フルフィルメントby Amazon(FBA)を利用して出品した商品には「primeマーク」が付与されます。primeマークが付与された商品は、
Amazon Prime会員によるお急ぎ便やお届け日時指定便の利用が可能です。少しでも早く商品を受け取りたいと考えている消費者にとっては購入の決め手にもなり得る要素であり、転換率の向上に貢献します。

海外配送が可能

フルフィルメントby Amazon(FBA)を利用することで、海外発送も可能になります。設備面や人材面などの理由から自社で越境ECを行うことが難しい場合でも、新たに越境ECにチャレンジしやすくなるでしょう。

フルフィルメントby Amazon(FBA)活用の
デメリット

フルフィルメントby Amazon(FBA)活用のデメリット

フルフィルメントby Amazon(FBA)には多くのメリットがある反面、いくつかのデメリットもあります。ここでは4つのデメリットをご紹介します。

委託の手数料がかかる

フルフィルメントby Amazon(FBA)を利用するためには、所定の委託手数料を支払う必要があります。2025年8月現在、商品のサイズと重量に応じて一点あたり288円~5,625円の手数料がかかります。自社の配送設備が整っている場合は、自社配送を選択したほうがコストを下げられる場合があります。

倉庫に送った商品の状態が確認できない

一旦Amazonの倉庫に送った商品がその後どのような状態にあるのかを確認することはできません。そのため、発送前に十分な検品を行い、傷や破損のない万全な状態の商品を送るように心がけましょう。

流通加工による差別化が難しい

フルフィルメントby Amazon(FBA)を利用すると、Amazonのサービス範囲内の流通加工以外には対応できません。独自の流通加工サービスを提供することによって他社との差別化を検討している場合は、自社配送を選択する必要があります。

取り扱えない商品がある

フルフィルメントby Amazon(FBA)には、一部取り扱いができない商品が存在します。一例として下記のようなものが挙げられます。

  • 日本の規格および法律を満たしていない商品
  • 室温で保管できない商品
  • 動植物
  • 危険物および化学製品
  • 出品に必要な届出や許可取得などが行われていない商品
  • 医療機器

その他にも、取り扱いが制限されている商品がいくつかあります。詳しくは下記のページをご参照ください。
FBA禁止商品

フルフィルメントby Amazon(FBA)の手数料例

フルフィルメントby Amazon(FBA)の手数料は、販売する商品のカテゴリーによって異なります。一例として下記のような手数料がかかります。

手数料名 内容 節約するためのポイント
配送代行手数料 商品の寸法、重量、および価格に基づいてかかる、一点あたり288円~5,625円発生する手数料。これが基本の手数料となり、それに加算させるかたちでさまざまな手数料がかかる 商品の寸法で手数料が大きく変わるため、過剰梱包を避けて、適正な梱包にしてサイズを小さくすることで節約できる
在庫保管手数料 Amazon倉庫に自社商品を預けることで発生する手数料。在庫保管手数料は商品のサイズと保管日数によって決まる。配送の繁忙期となる10~12月は料金が高くなる 商品の寸法で手数料が大きく変わるため、過剰梱包を避けて、適正な梱包にしてサイズを小さくすることで節約できる
長期在庫保管手数料 購入者がおらず、Amazon倉庫に365日を超えて長期保管されている商品については、在庫保管料とは別に長期在庫保管手数料が発生する 倉庫に預ける商品の種類や数を最適化する
返送/所有権の放棄依頼に関する手数料 Amazon倉庫に預けている商品を自社に送り返してもらう、または販売見込みがないなどの理由で廃棄を代行してもらう場合、商品1点あたりの手数料がかかる 倉庫に預ける商品の種類や数を最適化する
購入者返品手数料 商品購入者が、返品を行う際の送料を無料に設定している場合、返品時に販売者に発生する手数料 検品を徹底すること、配送ミスをなくすことでなるべく返品が起きないようにする
納品不備受領作業手数料 Amazon倉庫に商品を預けた段階でラベルの貼り付けがないなど、適切な処理がなされずに納品された場合などはAmazon側で新たな作業が必要になり、その作業については新たな手数料が発生する 納品前の検品を徹底し、不要な手数料が発生しないようにする

保管日数やフルフィルメントby Amazon(FBA)側で代行したサービス内容などによっても手数料の金額は異なるため、事前に手数料の内容を確認しておくことが重要です。
Amazonで公開されている公式の料金シミュレーターを使った事前に見積もりをおすすめします。
フルフィルメントby Amazon料金シミュレーター

フルフィルメントby Amazon(FBA)はこんな人におすすめ

フルフィルメントby Amazon(FBA)は以下のような人に特におすすめのサービスです。

副業やスモールスタートでECを始めたい人

自社で在庫管理や配送業務を行う必要がない点は、初期費用に加え、倉庫や従業員にかかる固定費を抑えられるなどのメリットがあります。まずは小さく始めることがビジネスの基本ですので、これからECサイトをスタートさせたい人にとってはフルフィルメントby Amazon(FBA)が有効な選択肢となります。

物流・配送の工数を省きたい法人

商品を購入者に届けるためには、商品の入出庫や保管、ピッキング、注文処理、配送、梱包、各種カスタマーサービスなど、さまざまな業務が必要になります。人員の問題で物流に十分なリソースを割けない場合は、部分的にでもフルフィルメントby Amazon(FBA)を活用して工数を省くことをおすすめします。

販売拡大を目指して効率化したい中規模セラー

商品を販売することと、売れた商品を届けることには、それぞれ異なるノウハウが必要です。自社に物流や配送のノウハウがない場合、滞りなく商品をユーザーに届けることは簡単ではありません。物流に関わる業務をフルフィルメントby Amazon(FBA)に外注することで、自社は商品の開発や営業活動といったコア業務に注力できるようになります。

フルフィルメントby Amazon(FBA)納品時の
注意点

フルフィルメントby Amazon(FBA)に商品を納品する際は、事前にFBA料金シミュレーターを利用して必要な手数料を把握しておくことが大切です。前述のようにサービスの利用にあたってはさまざまな手数料がかかるため、どの程度の手数料がかかるのかを把握しておかなければ、思ったよりも利益が残らないなどのトラブルに見舞われる可能性があるからです。

料金シミュレーターを活用して費用対効果を十分に検討し、フルフィルメントby Amazon(FBA)を利用した方が望ましいと判断した場合にのみ導入することをおすすめします。

フルフィルメントby Amazon(FBA)利用の手順

これからフルフィルメントby Amazon(FBA)を初めて利用する場合、主に以下の4つの手順の実施が必要です。

Amazonセラーセントラルに登録

Amazonで商品を販売する際は、購入者アカウントとは別にセラーアカウントと呼ばれる出品者用アカウントの開設を行います。開設には身分証明書や取引明細書、クレジットカードや売上金を受け取る銀行口座などが必要です。また、情報入力後にはAmazonの担当者とのオンライン面談があります。

商品登録・FBA配送設定

セラーアカウント設定後は、商品の登録を行い消費者が購入できるようにするための準備を進めます。商品ラベルを印刷して外箱に貼り付ける、指定の梱包材を使って商品を梱包するなどの作業を行います。

商品をFBA倉庫に納品

商品の梱包が終わったら、納品予定日や個数などの情報とともに、商品をAmazonの倉庫に送ります。

Amazonが注文処理・発送・対応を代行

入庫後は、Amazonが物流業務を代行してくれます。

フルフィルメントby Amazon(FBA)以外の選択肢とは?

販路としてAmazonだけでなくYahoo!ショッピングや楽天市場など他のECサイトも使用している場合は、マルチチャネルフルフィルメント(MCF)の利用も検討するとよいでしょう。MCFは他のECサイトで販売しているものについてもAmazonの倉庫や配送を利用できるサービスで、在庫管理や配送業務の一本化が可能です。ただし、Amazonで出品していることが条件となります。

なお、Amazonで商品を販売しているからといって、FBAの利用は必須ではありません。自社で在庫管理し商品の発送を行うこともできます。また、フルフィルメントサービスはAmazon以外にも多くの企業が提供しており、Amazonで商品を販売しながらAmazon以外のフルフィルメントサービスを利用することも可能です。料金やサービス内容が自社のニーズとマッチしているか、他社フルフィルメントサービスとしっかりと比較してみましょう。

エスプールロジスティクスでは、独自のノウハウを基に荷主様の配送状況を丁寧に分析し、荷主様と受取人のどちらにとってもメリットを最大化できるフルフィルメンサービスを提案しています。1社ごとに異なる物流の課題を見つけ、効率的なECサイトの運営に貢献します。

フルフィルメントサービスのご利用をご検討の際は、ぜひお気軽にご相談ください。

自社に商品に合った委託先を探すことが重要

フルフィルメントby Amazon(FBA)を利用することで、自社配送を行わず、Amazonにフルフィルメント業務をまとめて委託できます。
しかし、フルフィルメントby Amazonはサービス利用のためのさまざまな手数料が発生したり、対応している流通加工サービスが限られていたりと、必ずしも全ての事業者にとって適したサービスではない可能性があります。

フルフィルメント業務を委託するのであれば、フルフィルメントby Amazon(FBA)だけでなく、他のフルフィルメントサービス事業者も検討し、自社の商品に適した委託先を探すことが重要です。
委託先は、予算に合ったサービス内容や、自社が必要としている流通加工サービスに対応しているかなども十分に確認したうえで選定するようにしましょう。

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