東南アジアへの越境ECとは?市場規模や進出の注意点について解説

東南アジアの越境ECは、世界でも特に注目されている市場の一つです。人口が多く今後ますます成長の期待が持てる市場であることから、日本国内からも越境ECの進出を検討する事業者が増えています。

そこで今回は、東南アジアの越境ECについて、市場規模や進出の際の注意点などを解説します。

東南アジア諸国のEC市場規模

東南アジア諸国はECが盛んであり、年々市場規模が拡大し続けています。
2019年時点で東南アジア全域のEC市場は1兆ドルを超える規模を誇っており、今後2025年にかけて3兆ドルを突破するだろうと見込まれています。

一方、東南アジア圏のEコマースユーザーは2019年の時点で約1.5億人とされており、2015年時点の4,900万ユーザーに比べると約3倍の規模に成長しています。特にマレーシアやインドネシア、シンガポール、ベトナムは世界でも大規模なEC市場として注目を集めており、今後も発展が期待できる地域です。

東南アジアへの越境ECが注目される理由

では、なぜ今東南アジアへの越境ECが注目を集めているのでしょうか。その理由を3つの観点からご紹介します。

インターネット環境が急速に普及

近年、東南アジアではインターネット環境が急速に普及しており、多くのユーザーが気軽にインターネットを通じたショッピングを楽しむようになりました。
ECが身近な環境になったことから、これまで入手が難しかった海外の商品を購入する機会も急速に増え、それが越境ECへの注目の高まりにつながっています。

SNS利用率の高さ

ECとSNSには高い親和性があるといわれていますが、東南アジア諸国におけるSNSの利用率が非常に高いことも注目の理由の一つです。
Facebookで見ると、世界全体の利用者が約27億人であるのに対して東南アジア諸国のユーザーは約3.7億人(2020年時点)となっており、約14%もの割合で利用されています。そのうちインドネシアのFacebook利用者は1.3億人、ベトナムは6,100万人、マレーシアは2,200万人にのぼるなど、年々利用者数は増え続けています。もちろん、YouTubeやInstagramなども積極的に活用されており、SNS文化がしっかりと根付いています。

コロナの影響によるEC需要の高まり

2020年初頭に発生した新型コロナウイルスの影響により、世界中が往来を自粛し、他国の商品を気軽に購入することが難しくなりました。
このことによりECを通じた他国製品の購入が活発になり、EC需要がこれまで以上に高まっていることも、世界の越境ECを盛り上げている一因といえるでしょう。

東南アジア進出の始め方

東南アジア進出の始め方

東南アジアに越境ECで進出する際は、一般的に次の流れで準備を進めることになります。

1.商品を用意する
2.ターゲットを決める
3.ECサイトを構築する
4.配送方法や発送元の倉庫を決める
5.商品を販売する

まず、「何を販売するのか」を決めなければECサイトの立ち上げはできません。すでに日本国内で事業を展開している場合は、自社の商品の中で海外販売できそうな商品はどれかを絞り込みましょう。これから新規事業を立ち上げるのであれば、進出先のユーザーが好む商品を選び抜く必要があります。

商品を揃えた後は、進出する国とターゲットを決めていきます。市場調査を行い、自社の商品を求めている国やユーザーを見極めます。

ターゲットを決めた後は、商品を販売するためのプラットフォームとなるECサイトを構築します。自社ECを構築する場合もありますが、海外のECサイトに出店する方法もあります。

続いて、配送方法や発送元の倉庫を決めます。海外発送は国内発送に比べて手続きが多く、手間がかかるため、可能であれば物流倉庫の利用をおすすめします。

すべての準備が整った後は、実際に商品の販売を開始します。

東南アジアの代表的な越境ECプラットフォーム

東南アジアには、いくつかの代表的な越境ECプラットフォ-ムがあります。ここでは、特によく利用されている5つのプラットフォームをご紹介します。

Shopee

Shopee(ショッピー)はシンガポールで運営されている越境ECプラットフォームです。
2015年2月に運営が開始されました。東南アジアの中では特に影響力が強く、利用者が多いプラットフォームです。出店者自ら問い合わせ対応を行うため顧客との距離が近く、スピーディーなやりとりを行えるのが特徴です。シンガポールのECプラットフォームではありますが、複数の東南アジア諸国に同時販売が可能なことも注目すべきポイントです。

Lazada

タイ、マレーシア、フィリピン、ベトナム、シンガポール、インドネシアの6ヵ国を対象としたECプラットフォームで、東南アジア諸国全般をターゲットとしています。
立ち上げたばかりの頃は「ラザダグループ」によって運営されていましたが、2016年以降は中国の「アリババグループ」が経営しています。扱っているジャンルが多様であり、一ヵ国あたり3,000店舗、一日の訪問者数が500万人を超える盛況さが魅力です。

Bukalapak

インドネシアのECプラットフォームで、2010年の設立から10年以上にわたって運営を安定的に維持しています。
2019年時点でのアクティブユーザーは月間7,000万人を突破し、人口の多いインドネシアの中でも特に人気のECプラットフォームとなっています。2021年8月にはIPOで上場しており、企業の評価額も2,800億円以上と一大企業に成長しました。家電やモバイル用品などが特に豊富で、企業の出店にも多様性があります。支払方法が複数用意されていることから、越境ECによる世界中からの商品購入に対応しているのもメリットです。

Tiki

ベトナムのECプラットフォームです。
東南アジア諸国ではShopeeが高い人気を誇っていますが、ベトナム国内ではTikiもShopeeと並ぶ知名度の高さがあり、2010年から10年以上にわたって利用されてきました。当初は英語の書籍を取り扱うECサイトでしたが、現在ではさまざまなジャンルの商品を取り扱っており、Amazonのように多種多様な製品を探し出すことができます。
また顧客満足度を高めるためのさまざまなサービスを提供しており、ハノイ市・ホーチミン市に限り15kg以下の商品を注文から2時間以内に配達するなど、スピード感のある対応が特徴です。

Sendo

SendoもベトナムのECプラットフォームです。
Shopeeに続くトラフィック数を誇り、安定した人気を獲得しています。50万人以上の出店者がおり、登録されている商品は1,000万点以上です。アパレル製品が豊富であり、ベトナム国内において物流がそれほど盛んではない地域にも配送できるなど、他のプラットフォームとの差別化により成功しています。

東南アジア進出時の注意点

実際に東南アジアへ進出する際は、次の3つのポイントに注意しましょう。

ターゲット国に合わせた商品・事業選定

越境ECにおいてユーザーが求めている商品は国によって異なるため、日本国内でよく売れている商品が同じように売れるとは限りません。
新たに越境ECに参入する際は、ターゲット国の市場を十分に調査したうえで商品・事業選定をするようにしましょう。

関税や禁制品の確認

東南アジア進出の際は関税や禁制品の確認も大切です。海外へ商品を輸出すると輸出品の種類に応じて関税がかかるため、よく調査せずに参入した場合に思わぬコストが発生してしまう可能性があります。
また、国によっては輸出入が禁じられている品物もあるため、自社の商品をターゲット国に届けられるかどうかもチェックしましょう。

現地に合わせた決済方法の選定

国によってよく利用されている決済方法は異なるため、現地に合わせた決済方法の選定を行うことも大切です。
クレジットカードやPayPal、代金引換、銀行振込、現地独自の決済方法など、事前調査を行ったうえで決済方法を設定することをおすすめします。

東南アジアへの越境ECには数多くの課題がある

東南アジアへの越境EC進出には、言語や文化の違い、市場調査の難しさ、物流のハードルなど、さまざまな課題があります。もし自社だけで対応が難しいと感じた場合は、越境ECに強い物流業者への委託を検討することをおすすめします。

近年では、越境ECに参入するにあたって市場調査から物流設計、運用まで一貫してサポートできる事業者も増えてきています。エスプールロジスティクスでも初めての越境EC参入を経験豊富なスタッフがサポートいたしますので、海外進出をお考えの際はぜひご相談ください。

まとめ

ここでは、東南アジアの越境ECについて、市場規模や進出の注意点をお伝えしてきました。

東南アジアは人口も多く、ここ5年程度で数倍にもEC市場規模が膨らんでおり、今後も高い成長率を維持し続けることが期待されています。しかし、東南アジアへ進出する際は、ターゲットや進出するプラットフォームの選定、配送方法の決定など、さまざまな準備が必要になります。自社だけで対応が難しい場合は、越境ECに強い物流業者へのサポート依頼をぜひ検討しましょう。

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